バンダーベルグの帰還
森を切り拓いて作られた街道の終わりが近い。
ベルティザが見えて来た。
バンダーベルグは、ブレブロで馬を購入し、早駆けして帰って来たのだった。
ブレブロでは、何もかもが上手く行かなかった。
タシリモには出し抜かれ、接触した魔人は行方不明になった。
どうしたものかと思案していたところ、吸血鬼共が再び現れ、双剣のヴァリッジが一人で迎え撃った。
後日の再戦時に魔人アリスが現れ、ヴァリッジと協力して吸血鬼のうち一匹を倒し、捕縛したということだった。
あの魔物嫌いのヴァリッジが魔人と協力するなどあり得ない、と誰もが思ったが、今や観光名所にすらなりつつあるゴードン薬店の店先において、アリスと椅子を並べて座っている光景がよく見られる様になり、バンダーベルグ自身も実際に何度も見るはめになった。
魔物嫌いで知られる双剣のヴァリッジが、魔物であるアリスと親交を深めているというニュースは、ベルティザにとってはよくない。
アリスのあの強さに、ヴァリッジの口添えがあれば、人間側の英雄だと公式に認定される可能性が高い。
するとアリスは、複数の国家間を自由に動き回れる様になるのだ。
ルレットやガイン、ユウの様に、神殿所属の英雄ならば、どうということはない。
神殿は、国有の機関ではなく、独立した権力を持つ。
国であろうと、自分たちの領域に立ち入らせないのだ。
その代わり、国政という領域にも立ち入らない。
しかしアリスは、そうはならないだろう。
もしアリスが国に召し抱えられたら、国王はアリスをお飾りの勇者に任命し、直属の騎士団を作るに違いないし、アリスは調子に乗って出しゃばるに決まっている。
そうなってしまうと、バンダーベルグは終わりだ。
アリスが、例えば観光名目で入街し、付き添いの騎士団に捜査させれば、バンダーベルグの犯罪は必ず露見する。
つまりは、魔王ギルバーティの体を使っての、魔物の出現だ。
だから、見つかる前に、ギルバーティの体を国外に移さねばならない。




