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ギルバーティは力なく
「何てこっただぜ…」
目を閉じているギルバーティが、溜息をついた。
馬車に揺られている一行が目指すは、アーマンダインだ。
ギルバーティが目を開けると、眼前には、桃色の髪の女吸血鬼、シャノンが座っている。
その横には、赤髪のフォンテス。
そして緑髪のマシアスは、ギルバーティの隣だ。
「どうしたんだ、ギルバーティ?…チッ、さま」
シャノンの視線を受け、マシアスが、舌打ちして様付けする。
ギルバーティを真祖扱いしろとフォンテスに言われた瞬間からのシャノンの振舞いは、ギルバーティを敬う態度をしっかりと見せていて、完璧だ。
そして、態度の悪いマシアスに、ことあるごとに非難めいた視線を向けてくる。
マシアスにとっては、このシャノンの行動二つ共が苛立ちの理由になっていた。
それ故の舌打ちだ。
ギルバーティが笑い、肩を竦めておどける。
「本体がなくなったぜ…」
しかし、その笑みは硬い。
マシアスたちは、心の内で歓喜する。
やったか!と。
しかし、すぐにその気持ちも消えることとなった。
「先代の狂える傲慢が復活したぜ…」
マシアスたちは、何もわからず、しかし何も言えなくなった。




