ビクトーの企み
イゴールは立ち止まる。
ビクトーは祭壇へ向かって、歩を進める。
クマガイは、ビクトーとイゴールの直線上から外れ、双方をちらちらと見やりながら、ビクトーについて行く。
「では、暗殺は…!」
「ええ、意味がありません」
ビクトーは祭壇に辿り着き、下段に足をかけた。
クマガイも後に続こうとする。
「…意味が、ないだと?」
「ええ、意味がありません」
「どういうことだ、ビクトー!答えろ!」
イゴールの怒声が響く。
その声にクマガイが恐れおののき、イゴールの方に体ごと向き直る。
「何を企んでいる、ビクトー!貴様、今ここで殺すぞ!」
中段に足をかけながら、ビクトーが振り返る。
「かつて私は、我が魔王と共に、ギルバーティと戦いました。そして…」
「…敗れたか」
「そうです。我が魔王は、ギルバーティに魂を滅ぼされました。そして私は、脱け殻となった主の体を回収し、後日、再び相まみえました。そして最終決戦でギルバーティを封印したのです」
「何…?ギルバーティを倒したのは、大地王とSARUのはずだ…」
「先代の大地王ロックダン、魔拳のSARUだけではありません。その二人に加え、魔人クロガネ、勇者シエロ、そして私、仮初めの魔王ビクトーの五人で最終決戦に臨みました」
「仮初めの…魔王だと…?」
イゴールの殺気にたじろぐクマガイが後ずさる。
かかとを祭壇にぶつけてつまづき、仰向けに倒れて頭を打ち、昏倒した。




