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二兎が追う着物
目にも止まらぬ速さで、ギルバーティ同士がぶつかる。
ビクトーは満足げに嗤った。
「覚えておくといいですよ、イゴール。自我のある分体に闘争本能だけを持たせると、こうなります。本体の思惑では、彼らは守り手であり、同時に予備の体だったはずでしょうが、こうして、着物は一着しかないと強く印象づけて、仲違いする様に仕向けてやると、彼らはその闘争本能に支配され、どちらかが倒されるまで戦い続けてしまいます。」
「…着物は、この為か」
「ええ、もちろん。他に何があるというのですか?」
「ナウ…!いや、何でもない」
イゴールは、釈然としない気持ちを胸の内に押し込め、言葉を飲み込んだ。
「おや、大勢は決した様ですね」
息も絶え絶えに、勝ち残った片方のギルバーティが、もう片方のギルバーティの消滅を見ている。
ビクトーは、勝ち残ったギルバーティに静かに近づき、背後から爪で襲った。
慌ててイゴールも巨斧を振り下ろす。
勝ち残ったギルバーティは、無惨にも細切れとなり、断末魔の叫びをあげながら消滅した。
ビクトーたちは、タツキの時とは比べものにならない程の経験値を得た。
「こうなってしまっては、ギルバーティもどうということはないですね」
「そうだな」




