泥島、レパードへ
泥島は旅立ちを決意していた。
アリスが薬店裏の家に戻ることになった。
しかし泥島は入れないという。
「お前ロボっぽい変形合体あれやめろ。嫉妬で狂いそうだわ」
何て素直な奴だと思う。
アリスは、性根は悪い奴ではない。
だが、だからこそ、人の意見に左右されて突飛なことをし過ぎたり、逆に納得して決めたことは曲げなかったりする。
ビクトーの甘言をあっさり受け入れたり、全てを無視して池中を蘇生させたりする。
泥島は、ビクトーたちを逃がすのはダメだと思ったし、池中を甦らせることに、本音では納得が行かなかった。
レオンを狙った敵フォンテスを逃がすのも、穴倉だけ殺したままというのも、納得が行かなかった。
そう思える様になったのは、やはり、強くなれたからだ。
今の自分なら、あの時のフォンテス、短剣使いマシアスよりも強い、と泥島は思う。
だから、奴らを逃したアリスを頼らずに、奴ら吸血鬼を自分が倒すつもりなのだ。
人間に害をなす奴らを、野放しには出来ない。
これは、穴倉についても言えることだ。
人喰いはさせない。
身も心も怪物になってしまったのか、最初からああだったのかは、もう、どうでもいい。
これから、変えればいい。
「当面は蘇生魔法の発見。これが目的だな」
アリスは、倒そうとした敵の甘言を受け、翻意し逃がした。
泥島は、そんなアリスに対して非難めいた感情を持ちながら、自分は穴倉を甦らせようと翻意している。
そして、それを自覚している。
だからこそ、アリスには頼めない。
だからこそ、リザレクト持ちを自分で探すと決めた。
アリスが、アンデッド化を解く魔法を探したい様に、泥島は、アリス以外のリザレクト持ちを探す旅に出ることを決めた。
魔法華やかなりし魔導国家、隣国レパードは、魔法先進国だ。
行き先は決まった。
泥島は誰にも告げず、レパードへ向けて旅立った。




