そしてクマガイは壁になった
クマガイは少年ユキシマに抱えられている自分の状況を飲み込めないでいた。
ビクトルたちと共に地下を潜っていたのは、別に強制されたわけではないのだが、少年たちはどうやら救出してくれるつもりらしかった。
クマガイは誰にでも反抗するが、痛みや恐怖を与えられると、つまりビビると、長いものには巻かれろの精神で従順になるし、依存心も湧いてくる。
だからカプリスにも従うし、ビクトーやイゴールたちにも従った。
だが、今はこのユキシマに従うつもりだ。
頭がおかしいカプリスはいなくなってしまったし、得体が知れないビクトーたちは何だかいけ好かなくなった。
それに比べると、少年たちは何だか安心安全な気がするし、クマガイですら好感すら持てる。
と、結局は次から次に依存する対象を変えているだけなのだが、クマガイにとってはこの自分のなさこそが自分なのだ。
ユキシマが、腰に下げていたハンマーを持ち、通路の壁を叩く。
すると叩いた部分が砂化し、人の顔大の穴が出来た。
「ここに隠れとって下さい!」
ユキシマは、クマガイを壁の中に押し込める。
土魔法なのだろう、壁に沈み込んでゆくクマガイの体。
顔が、先程作った穴にはまっている。
そしてユキシマは、土魔法で蓋をした。
「これでよし!後で迎えに来ます!」
それっきり、ユキシマの声は聞こえなくなった。
孤独がクマガイを不安にさせ、あることを思わせる。
これは、忘れられるやつではないか?ということを。




