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クマガイのトラウマ

その事件から、クマガイはアブナイ奴とされ、周りに明確に避けられる様になった。

しかし有栖川は、毎日楽しそうにしている。

クマガイにとってそれは、許せないことだった。


何故ならば、クマガイは有栖川を確かに殴ったが、有栖川だってクマガイを殴り、それで脳震盪を起こし顎を骨折させられたクマガイは、二ヶ月も入院したのだ。

自業自得という考えは、クマガイの辞書にはない。

全て他人が悪いのだ。


入院中、見舞いに訪れたのは、服部、池中、高木、泥島、穴倉を引き連れた有栖川のみ。

そして有栖川は、流動食しか食せないクマガイを見るやいなや、高木が見舞いの土産にと持ってきたフルーツを全てたいらげ、冷蔵庫を開けては飲料を飲み干し、見もしないのにプリペイドカード式のテレビをつけてカードを消費しながら、ナースコールを押すいたずらを繰り返した。


目を閉じれば甦ってくる。

傍若無人の振る舞いをする有栖川と、剥いたバナナを両手に一本ずつ持ち、腕をだらりと下げて、宮本武蔵、と呟いたまま動かない穴倉の姿が。


今思い出しても腹が立つ。

結局有栖川は、一言も謝らなかった。

そして同行者も皆、それを咎めなかった。

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