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クマガイのトラウマ
「電撃魔法!」
魔導士たちが一斉に魔法を唱えた。
前の二人がしゃがみ、後ろの二人が立っているフォーメーションだ。
これは、狭い通路における魔法攻撃のセオリーの一つである、
樫で出来た杖の先端に電光が宿り、暗い通路がにわかに明るくなる。
そして、イゴールに向かって電撃がはしり、炸裂する。
しかしイゴールは、眉一つ動かさす、魔導士たちを見つめている。
そして、電撃は次第に小さく細くなり、やがて消えた。
「ま、魔法が効かないだと!?」
魔導士の一人が叫んだ時には、ビクトーが既に爪で四人の魔導士の首を落としていた。
首なし死体が地に伏し、その向こうに、片膝を着き、手を交差させているビクトーが見える。
「行くぞ、クマガイ。早く案内しろ」
「ひっ、はっ、はい。くそっ、寒いな」
クマガイはカチカチとなる歯、震える体を止める術を持たず、寒さのせいで震えているかの様な発言でもって、虚勢を張った。
それはクマガイにとって、単なる虚勢の様でいて、その実、この二人にとことんついて行く覚悟を決めろ、という、自分への無意識の投げかけからの言葉でもあった。




