ギルバーティ保護
「開いてるぜ」
部屋の中からの声に、フォンテスが一歩前に出た。
そしてドアを開ける。
ドアは立て付けが悪く、少し引っかかりがあった。
構わず引くと、動きが滑らかになる。
部屋に入ると、ベッドに腰かけ足を組んでいる男がいた。
ギルバーティは、カシミアタッチの薄手のセーターに、タイトなチノパン穿きという出で立ちだった。
ショートブーツは泥で汚れている。
全身黒。
髪は下ろされ、ロングヘアの長髪が顔を隠していた。
「頭のセットがまだだぜ」
組んだ足を解いたギルバーティが、ベッドに倒れ込んだ。
「話は聞いてるぜ。お前ら吸血鬼で言うところの、真祖の扱いを保証してもらいたいぜ」
虚空を眺めるギルバーティが、フォンテス、そしてマシアスを見た。
顔色を変えたマシアスが短剣を抜く。
「はい、死ん…」
フォンテスが手をかざし、マシアスを制止した。
「俺が保証する。俺と同じ扱いをさせよう」
「お前は真祖か。それなら文句はないぜ。あともう一つ。俺のパーティーを再編成したいから、お前らの支援者で人間の奴を二人ほど寄越してほしいぜ。駆け出しでいいぜ」
「わかった。そうさせよう」
「恩にきるぜ。荷物はもうまとめてあるぜ。いつでも発てるぜ」
人間としての立場を堅持したいはずのギルバーティが、すんなり保護に応じるのは拍子抜けだ。
「あと一つ。ここのツケを払ってもらいたいぜ」
「任せろ」
現時点では、ギルバーティの考えを窺い知ることは出来ない。
マシアスは一抹の不安をかんじたが、フォンテスの決定に口を挟めるものではなかった。




