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往来の吸血鬼

ンカフに無事入街出来たマシアスとフォンテスは、往来を眺めていた。


アーマンダイン冒険者ギルドのギルド長エオエルからの依頼だと聞かされていたので、話は通っているだろう、入街出来るだろうとは思っていた。

しかし、話は通っておらず、なのに、検査にしろ手続きにしろ、拍子抜けする程スムーズで、簡単に街に入ることが出来たのであった。


不可解だと思う二人だったが、すぐにその思いは消える。

街は魔物で溢れていたのだ。

かといって、人がいないわけではない。

共存しているのだ。


「聞くと見るとじゃ違いますね」

「だな。圧倒されるぜ」


フォンテスは素に戻り、顔をしかめた。

それほどまでに、その光景は衝撃的だった。


吸血鬼には、由緒ある種族だという誇りがある。

それは他の種族の中にもままある価値観ではあるが、吸血鬼の場合は一線を画し、他の種族を見下している。


吸血鬼の生い立ちは様々ある。

貧しい者、富める者。

吸血鬼として育つ者、ある日突然覚醒する者。

しかし変わらないのは血の階級。

吸血鬼の階級は、真祖、純血種、そして噛まれて吸血鬼になった貴族、平民という序列になっている。


例えば、貧しい真祖が発見されれば、貴族はこぞって生活の面倒を見たがる。

真祖、そして純血種の面倒を見ることが、外的要因で吸血鬼になった者にとっての本能であり、誉れとなる。

そして真祖、純血種にとって、下層への施しであり、誇りなのだ。


彼らにとって、この本能を持たない別の種族は、家畜同然の存在。

同種の平民その下に、他の種族が存在している、が、吸血鬼の総意だ。


故に、共存するという発想がなく、マシアスたちは往来に顔をしかめるし、吸血鬼でないビクトーとの間に、意識の違いが、壁があるのだ。

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