ベルティザ潜入成功
ベルティザに赴くは、ビクトーとイゴールである。
二人はもうすぐ、外門につく。
入街審査にパスすれば、街に入ることが出来るが、ベルティザの審査は、とても厳しいことで有名だ。
イゴールは、胸騒ぎを覚えた。
「悪い予感しかしない───」
ビクトーとイゴール、二人の出で立ちは、首にエリザベスカラーを巻き、上下共に白地にトマト柄の着物姿、とどめに高下駄履きだ。
完全に不審者である。
イゴールは目を白黒させた。
目といえば、二人は眼球鏡を付け、黒目になっていて、黒髪、黒目のその容姿は、一般的なロウ・リ・ネイティス国民と言って差し支えなかった。
眼球鏡により、吸血鬼の赤い眼による瞳術は使えなくなるが、変装にはかえられない、というビクトーの判断だった。
黒髪、黒目という一般的な容姿は、変装の基本であり、常識である。
首から上だけ見れば、その変装は上手くいっていた。
ビクトーとイゴールは、ギルバーティ暗殺の為、今まさにベルティザへと潜入するところである。
イゴールが苦渋の表情となる。
「悪い予感しかしない───」
これに着替えろとビクトーに言われた時、イゴールは思った。
何の冗談だ、と。
しかし、突き進むビクトーに何となく従い、聞けぬまま、門前まで来てしまったのであった。
本当に、嫌な予感がする。
これは、問い質さねばなるまい。
そうイゴールは思い、前を行くビクトーに手を伸ばし、引き止めようとする。
と、その時、ビクトーが暗い笑みを称えながら、後ろに追従するビクトーに話しかけた。
「…変装は完璧です。魔人アリスを飼っている薬屋の主人が、常にこの様な姿でした。どこからどう見ても、我々は薬屋です」
───ほしかった答え。
だが、まさかの答え───。
イゴールの全身の毛穴という毛穴から、汗が一斉に吹き出す。
「…待てビクトー。これは一般的な薬屋の服装ではないぞ」
「…ええ。アリスの飼い主の様な、毒々しい着物は、時間がなくて用意出来ませんでした。しかし、この着物も、なかなかナウいでしょう?」
背筋を伸ばし、優雅な足取りで歩くビクトーの口から、恐ろしい言葉が紡ぎ出され、イゴールは立ち止まり、驚愕した。
ナウい、だと─────!?
イゴールがビクトーのセンスに絶望した瞬間、二人は、入街審査官の黒髪の女騎士に、当たり前の様に呼び止められた。
「はいそこの怪しい二人こっちねー」
二人は、瞬く間に投獄された。




