ンカフの結界
ンカフの入口に差し掛かると、マシアスは、小さな笑い声をあげた。
ンカフは、何もそこまでという程の城壁に囲まれている。
その高さは、30mはあるだろう。
そして城壁の上には、薄いドーム状の対魔結界が被せ張られている。
「五重結界とは…何て高度な結界を張ってやがる…!」
「…そんなに凄いのかよ?」
同タイプの軽薄さを持つマシアスしかいないからなのか、少し砕けた雰囲気となったフォンテスが、怪訝そうな顔をした。
マシアスは、結界の高度さに呆れ、困惑混じりの笑みを浮かべながら、フォンテスに顔を向けた。
「凄いなんてもんじゃねえ!こんなこと、そうそう出来やしねえんですよ!」
マシアスは、困惑混じりながらも、喜色も入った明るい表情をする。
「見たところ、いちばん外側の結界は、龍でも破れない、神話級の魔物用の対魔結界です。だから、弱い魔物は素通り出来てしまうんですけどねー…!」
結界は、いわば網である。
獲物の強さによって、目が荒く強く、目が細かく弱くなる様なものなのだ。
「次の結界層には超級用の対魔結界、さらに次の層には上級用の結界、次は中級用、最後に下級用ってかんじで張られてるんで、最終的には鳩から雀ぐらいの鳥ぐらいじゃねえと通れねえと思います。」
「魔物の空からの侵入は無理ってことか。」
「そうですね。あの魔人アリスでさえ、二層目の超級結界で止められるでしょうね。フォンテス様も二層目か三層目で止まりますよ。俺なんかは三層目でしょうね。しかも、こんなもんがあるなら、そりゃギルバーティって野郎も止まるよなって話で」
そして、驚くべきはその薄さである。
「結界ひとつひとつが、羊皮紙一枚ずつぐらいの薄さしかねえのが、めちゃくちゃヤベエんですよね…!」
「ん?」
「わかりませんか?結界は防御魔法。こんな高度な重ねがけを出来て、薄さを実現出来る術者なら、服の様に着ることも出来るはずです。そんな奴には、勝てねえ」
フォンテスが遠くの山を見る。
その山頂付近には、神殿がある。
「噂の、奴か」
「そうです。炎の女神官しかいねえ。こんなことが出来るのは」




