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ヴァリッジ対アラン
先日、四人を相手取ったヴァリッジからすれば、一人で来て、殺気を叩きつけてくるアランの気性は、見くびられたものだ、と苛立ちもするのだが、深層心理においては、見上げたものだ、というある種の尊敬がある。
アランの闘志に些かの陰りもないことは、古びたダガーを研ぎ、振り、愚直に強くなったかつての己と、無意識に重ねて見てしまう部分がある。
同時に、アランに畏怖し、闘志が萎えた人間を、この戦いにおいての不純物として拒絶する気持ちが、ヴァリッジにはある。
「来な。タイマンだぜ。なあ?」
故にヴァリッジは、アランを好敵手の様に扱い、単騎であたるし、他の人間の手出しを許さない気持ちがあって、一般的な人間と同化しない強者以外は、どこか自分と違う生き物だと思いもする。
そしてそれは、無意識の思いであり、自覚があることではない。
その為、ヴァリッジ本人にも自分の気持ちがわかっていないし、アランにも伝わらない。
彼らはお互いを、単騎で正々堂々と臨む変わり者、程度にしか認識してはいないのだ。




