356/2233
ヴァリッジ対アラン
ヴァリッジが吐き捨てた言葉が癇に障ったアランは、目を見開いて眼光を強めた。
一呼吸置いて眉をひそめ、目を細めたアランは、口を半開きにした。
口から覗く牙は、まるで敵意の尖りを代弁しているかの様で、その鋭利さを見たヴァリッジにとっては、先日の様な油断は禁物だ、と、気持ちを引き締めるきっかけとなったが、その異容はやはり人間とは似て非なる魔物のそれで、吸血鬼を初めて見る多くの者たちの背筋を凍らせた。
アランは、外見は落ち着いて見えるし、無口で闘志を内に秘めるタイプに見られがちではあるが、マシアスたちと同じ、即座に殺気立つ激情型であるし、執拗につけ狙う粘着質な性格でもあった。
よって、先日からの、ヴァリッジの発言から匂う、種族の違いについての偏見じみた言葉が気に入らず、どうしても再戦して斬り伏せたいと思っていたのであった。
その気持ちは、吸血鬼の誇りからのものであり、人間から吸血鬼となったアランの嫉妬混じりのものでもあったのだが、燃え上がる闘志に覆われ、ヴァリッジにも、アラン本人にも、アランの思いというものは、伝わるものでも、理解出来るものでもなかった。




