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忍の風

ブレブロの大通り。

普段は人々で賑わうそこは、閑散としていた。

しかし、人がいないわけではない。

ブレブロ冒険者ギルド長タシリモによって選ばれた、屈強なパーティーが七つ。

その中には、あずみが所属する〝忍風〟もある。


「師匠、師匠」

「…何だ」


あずみとロイドだ。

二人は、頭巾に使う長布を首に巻いている。

ロイドは黒装束、あずみはメイド服である。


「拙者、パーティー名の忍風を聞いて、思ったでござるが、(にん)●ってあるでござろう?」

「●(くう)?そんなパーティー名は聞いたことがないぞ」

(にん)●と(こい)●って、似てるでござるよな。字で書くと。」

「●(くう)と●(そら)?あずみ、お前は一体何を言っているのだ」

「はあ、師匠はアホでござるな。こう書くでござる」


あずみは、指で、地面に漢字を書く。


「ほう、確かに似ているな。これで忍●と読むのか。あずみ、俺はお前をアホだと思っていたが、しかし意外な教養があるな。まさか異界文字の読み書きが出来るとは」

「師匠、アホは師匠でござる。何?漢字の読み書き出来ないとか、小学校で何を習って来たでござるか?やーいアホー。アホの師匠ー」

「…それだと、アホのお前を弟子にしていると言われているだけにも聞こえるぞ。」

「ぐぬぬ確かに」

「だからお前はアホなのだ」

「アホって言う方がアホでござる。アホ師匠」

「先にアホと言ったのはお前だ。つまりお前がアホの元締めということになる」

「ぐぬぬ確かに」

「だからお前はアホなのだ」


二人以外、喋っている者はいない。

クロキは、この、緊張感の欠けた、戦場に似つかわしくないアホなやりとりをしている二人を見ていると、かつて自分が所属していたパーティー蕀の危険人物、ギルバーティを思い出さずにはいられなかった。


「…奴もアホだった」

「誰の話だクロキ」

「誰の話でござるかクロキちゃん」

「…蕀にもアホがいる」

「蕀にも師匠みたいなアホが?プークスクス」

「何と蕀にもあずみの様なアホがか。プークスクス」

「そう、お前たちみたいなアホがだ。プークスクス」


緊張感のない喋りの者が、三人に増えた。

あずみが作り出すアホの渦に巻き込まれるロイドとクロキを見て、タシリモは思う。

組ませたのは失敗だったかな、と。


「ここは託児所か。ロクな奴がいねえ」


ヴァリッジが呟く。

タシリモが心の中で落胆した瞬間、歩いてくる青髪の侍の姿が見えた。

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