影は再び陽光の下へ
泣いて泣いて泣き続けて、泣き疲れたあずみは、夢を見ていた。
夢の中であずみは、仲間たちと旅をしていて、そこには、アリスもルリもいて、穏やかな陽射しの中、どこまでも笑顔で、みんなで笑顔で歩く夢だった。
泥の玉であるはずの泥島も、行方知れずの高木も、不定形のスライムであるルリも、どんな姿に転生したのか知らない穴倉も人型。
誰なのかわからない容姿でも、誰が誰なのかわかったあずみは、この心地よさがいつまでも続けばいいと思った。
夢の中だからなのか、あずみは全てを受け入れていて、みんなで笑い合って歩くのが、自然なものだと認識していた。
それは、あずみが望む世界と重なる、幸せな夢だった。
…まどろみから覚めたあずみが目を開けると、そこは自宅の畳の上だった。
体を起こすと、そこにはゴードンの妻、エルザも伏せっている。
エルザには、感謝しかない。
だからこそ、立ち直らねばならない。
今日はタシリモと会うことになっている。
本当は、会いたくはない。
ランクを下げられなければ、別行動で仕事をこなすことなどなかったと、あずみは思っている。
間接的に、アリスの死の責任が、タシリモにはある、と、あずみは思っている。
だから、会いたくはない。
だが、吸血鬼どもが、ブレブロに再来したのを感じた。
自分を刺した短剣使いも来ているのを感じた。
あの日、奴はアリスに倒された。
自分は、手も足も出なかった。
でも、アリスはもういない。
だから、自分で倒そう。
奴らの禍々しい気を、この手で無に帰そう。
それを当面の目標として、自分を奮い立たせよう。
アリスに依存していた自分から、一歩踏み出そう。
自分の足で、自分の道を踏み締めよう。
「あずみちゃん…?今日、どうする…?ギルド…行かなくてもいいのよ…」
「…お母さん、拙者、ごはんを食べるでござる。そして、ギルドに行って来るでござるよ。やらなきゃいけないこと、私ならやれることが、多分あるでござる。だから呼ばれた」
あずみは外へ飛び出す。
「強くなりたいでござる!心も!体も!」
細路地を抜けると、タシリモが立っている。
「ならば、会わせたい人がいる。ついて来るか?」
「行くでござる!それはそれとして、お主のせいで、アリスが死んだでござる!デュクシ!」
タシリモを殴り飛ばしたあずみは吹っ切れた顔になった。
太陽が眩しい。
「連れてけでござる!どこへでも!」
殴られたタシリモは困惑したものの、しかし、目的を遂行する為、あずみを連れて、ギルドへと歩を進めた。




