双剣唯一人
吸血鬼たちは、ブレブロにいた。
街を見回すマシアスは、緑の髪を風になびかせ、首を左右に傾けて鳴らして、口を尖らせる。
「ふうん、俺たちが前に来た時のことなんか、気にもしてないって感じなのかよ」
ブレブロの大通り沿いには服飾店がひしめき並び、その道の真ん中におびただしい数の露店が出ていて、往来は賑わっている。
「だからこそ、仕切り直しなのだ。だが…」
黒髪のイゴールは真っ直ぐ、遠く、道の先を見る。
そこには、男がひとり。
「嫌な感じね、あいつ。やる気まんまんじゃない」
桃色の髪をかき上げて、香水の甘い香りを振り撒きながら、シャノンが吐き捨てる様に言った。
「…」
青髪のアランが、刀に手をかける。
四人が見る先にいる男は、カーゴパンツのポケットに両手の親指を突っ込み、顎を上げ、眼光鋭くマシアスたちを睨んでいる。
腰には、二本の古びたダガー。
誰かが言った。
「双剣のヴァリッジ…!」
フン、と鼻で笑ったヴァリッジは、ポケットから親指を抜き、そのまま上げた手を、両腰のダガーに滑る様につけた。
「ジャン・ジャックもエディもいねえ時に来るとはな。空気読めねえ小僧どもめ。…っと、デカブツは俺より年上か?まあ…」
逆手でダガーを抜く。
首もとで腕が交差される。
ダガーはその時、既に順手に持ち変えられている。
刀身を前方に向けながら、ニヤリとニヒルな笑みを浮かべたヴァリッジは、ダガーを持った両の手を、だらりと下げる。
「今日ここで死んじまえばよ、いつか俺の方が年上になる、…って、なア?」




