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カプリスの囁き

銀髪に碧の大きな瞳。

白い肌。

男がこの世界に来た時に会った女神カプリスで間違いない。


しかし彼女はドレス姿ではなく、茶色の布の服に、下は皮のミニスカート。

服の上から白銀の胸当てを着けていて、手甲(ガントレット)足甲靴(サバトン)も共に白銀だ。


腰には、先が二又にわかれた鞘に収められた剣。

その姿はまるで冒険者の様だが、高貴な美貌を些かも損なうものではない。


カプリスは、その美しい顔を男の首筋に付け、囁く。


「君は業を背負い過ぎてる。だから、この世界で、恵まれずにここまで来た」


男は眉間に皺を寄せる。

これまでの苦労を思い出しているのだろう、その顔は苦しげですらある。


嗤う様に、カプリスは言葉を続ける。


「君は大した力を持っていないのに、アリスガワくんは、私の助力で何だって自分の力にしていける。悔しい?悔しいよね?でもね、私がアリスガワくんに強大な力を付与してあげる気はもうない。彼は私の支配から外れてしまった、出来の悪い子。」


男はカプリスを自分から引き剥がし、その目を覗き込む。

目の奥は、一瞬たりとも揺らがない。

乾いた、絶対的な意思を感じさせる目だった。


「だから、私の敷いたレールから外れない君に、チャンスをあげに来たんだよ。君の魂は、他人への嫉妬で汚れきってる。負の力をもっと溜めれば、魔王への道を拓くことも夢じゃないよ。どう?私と一緒に来るなら、君はアリスガワくんを屈させる力を得られるかもしれない」


「代償は何だ?」

「あなたのお友だち全員と、敵になってほしいの。全員苦しめて、場合によっては殺してほしい。そして魔王になってほしい。それ以外は望まない」


「何だそんなことか!俺はそのつもりでいるよ」

「じゃあ問題ないね。私のことはカプリスじゃなく、違う名前で呼んで。これからよろしく頼むよ、クマガイ」

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