スライムクイーンの死
アリスがいつになく険しい表情になる。
「何であろうと、今の俺には関係ないわ。俺はこの世界に来た時に、今の俺で生きていくって決めたんだわ。その為に、俺は今なすべきことをするわ。…池中」
そして、ルリの前に立つ。
「お前を殺すわ」
アリスは思う。
自分は池中に殺され、レブナント、高位のゾンビになった。
だが、殺されたことを、どうこう言うつもりはもうない、と。
ルリは大きなショックを受けた。
闘志が、萎んでゆく。
「…わかったわ。あんたになら、大人しく殺されてあげてもいい。私は、あんたを殺した。自分の中で、超えてはならない一線を超えたわ。」
ルリは思う。
自分はもう、スライムクイーンのルリであって、池中瑠璃だとは言えない、と。
対峙すれば友人をも殺す、魔物なのだ、と。
大雑把な性格のアリスでも、この世界で生きていく覚悟を決めていることを、ルリに示した。
その上で、ルリを殺すと宣言した。
これは、過去との決別、ルリとの決別を意味するとルリは思った。
アリスにとどめを刺されるのならば、仕方ない、とルリは思う。
本音で言えば、少し寂しい。
ルリは殺してなおアリスが好きだし、アリスの心の中に、自分が特別な存在としていたことが、ひとときでもあった、と思っている。
だから、別れの気持ちを明確にされると、これまでをやはり後悔する。
アリスを殺したこと。
穴倉を殺したこと。
泥島と戦ったこと。
思えば、別れを決意させるには十分な行動ばかりをしてきたと、今更ながら再認識する。
泣きわめきたい気持ちを抑え、ルリは深い溜め息をついた。




