闇悪夢
ゴブリンたちは、足を引っ張られ、足下の渦にゆっくりと浸かってゆく。
すると棘の枝は、沈みによってしなり、少しずつ胸から抜けてゆく。
そして、ゴブリンの体の中から完全に抜けると、しなりが勢いよく真っ直ぐに戻る。
すると枝には、黒い鬼火の様な何かが刺さっており、細長く、ゴブリンの胸と繋がっている。
「魂を抜いてるなああ」
「まじかよ泥島キッショ…!」
ルリが高空から飛来し、水弾を撃つが、幹だろうが枝だろうが渦だろうが、着弾する度にゴブリンたちが絶叫をあげる。
「何てこと!?これじゃ攻撃出来ない!」
闇の渦に胸まで浸かると、魂の尾が完全に抜け、肉体だけになったゴブリンがうなだれ、沈黙する。
「やばぁ!お亡くなりになった感あるわ」
「闇王国はここまで酷くなかったのになああ」
「こわぁ!泥島こっわぁ」
ゴブリンたちは、なす術なく闇の手にしずめられ、鼻の位置まで闇に浸かる。
ほどなくして、渦が収束して泥島に吸収された。
闇の渦に飲み込まれたゴブリンたちは、鼻から上を残して消失した。
一瞬の静止の後、棘枝が脈動を始め、枝に実の様についている魂が、脈動の度に萎んで小さくなってゆく。
「魂から経験値を吸ってるんだよあれなああ。俺、闇王国でLV下がったもんなああ」
「まじかよ。俺、泥島を目覚めさせちゃった感あるわ。…いや、目覚めさせたのは池中か」
小さくなり過ぎた魂たちは、遂には枝に同化し消えた。
追って、枝は幹に、幹は泥島に沈んでゆき、辺りを沈黙が支配した。
ミスリルに変化したままの泥島の体が黒く変色してゆく。
「浮遊魔法」
強大な力を獲得した泥島は、闇の気を漏らしながら宙に浮く。
地面には、ゴブリンの頭部の上半分の残骸が、無数に散らばっている。
「次はお前だよ池中。言っとくけど、リザレクトじゃ生き返らないから、そいつら」
「ラーラ…!せっかく会えた転生者なのに…!」
「仇は取るぞ穴倉」
「仇は取るからねラーラ」
ラーラの残骸、その目から、涙がこぼれた。
瞬間、二人は激突した。




