闇悪夢
ルリは危険を察知して飛び上がる。
泥島が放出した黒い気が、天に向かって伸びる。
それは太い闇の幹となり、その根本から、全方位に向かって、うねる棘が伸びる。
間一髪で高空に離脱し、追ってくる棘も必死に逃げて振り切ったルリだが、後の全員は胸を突き刺されてしまった様だった。
血は出ていない。
だが、ゴブリンたちは、痛みと苦しみに声をあげている。
「うええ、ありゃあ邪神の、吸気の術だああ。あれは一旦正気に戻されて、それからわざわざ狂わされちまうタチ悪い術なんだよなああ」
エディが顔を歪めながら、気味悪そうに言葉を発する。
薬物で、想像を絶する苦痛を味わっていたエディですら、二度と食らいたくない系統の術であった。
「何だお前、あれやられたことあんのか」
「もっと低位のやつだったけどなああ。確か、闇王国って術だったかなああ。俺たち悪童が追ってる邪神が使うんだよおおおお。一回殺されかけたんだよなああああ」
刺さった棘から力を抜かれていくゴブリンたちは、エディが喋っている間も、みるみるうちに生気を失い、干からびてゆく。
棘は、天に向かう闇の幹の下方から生えていて、角度を変え、ゴブリンたちの体を差し上げながら、根本から徐々に高い位置に移動する。
そして、泥島を中心として、黒い気の渦が地面に発生し、ゆっくりと広がると、渦の中からは、無数の闇の手が伸びて、ゴブリンどもの足を掴む。




