泥の怒りと虹の驚き
ラーラを筆頭としたゴブリンの生き残りたちが、ルリと泥島の間に割って入る。
その数、十二匹。
その多くは、禍々しく尖った黒い気に気圧されながらも、臨戦態勢だ。
「やレッ!」
「水弾!」
「ギャギャッ!」
ラーラの号令で、ルリが水弾を放ち、ゴブリンたちが投刃を一斉に投げる。
泥島は真っ直ぐルリを見据えたままだ。
「真銀変」
泥島の体が、土からミスリルに変わる。
事も無げに弾かれる水弾と投刃。
「…何よそれ!?…レブナント!?泥島、あんた進化したの!?くっ、鑑定阻害魔法か…!」
ルリが見ている泥島のステータスが、名前と種族名を残して不表示になる。
「…見るんじゃねえよ化け物。そして話しかけるな。エディ!アリス!来い!」
泥島が声を張り上げると、すぐ近くの柵の向こうの茂みが動いて木枝が擦れ、音を立てる。
ルリ、ゴブリン、そして泥島の視線が集まる。
茂みの中には、アホふたり。
「やべぇ、びっくりして音立てちゃったわ」
「…完全にバレたなああ。アリス、どうするんだああ?」
「ぐぬぬ…お前行って来い」
「わかったああ」
勢いよく立ち上がり、姿を見せるエディ。
「ドロシマあああ、ゴブリンどもは任せなあああ」
不敵な笑みを浮かべながら、エディがふらふらと柵に近づく。
まさかの伏兵の存在に、ラーラは驚愕の表情だ。
「アリス!バックレてんじゃねえぞ!がああああああ!」
いまだかつてない剣幕で、泥島が咆哮する。
アリスも渋々ながら立ち上がり、困った様な顔で小さく手を挙げる。
「え~と…、泥島君を応援させていただきます的なかんじだわ」
「!」
ルリとゴブリンたちは絶句した。




