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泥だんごは、溜め息混じりに笑う

「あ~、泥くっつけ過ぎて体が重い、イテテ…」


川沿いを転がる土塊ひとつ。

泥島だ。


現在の泥島は、ボウリングの玉ほどの大きさだ。

その重量のせいで、踏んだ小石が体にめり込み、進む途中で剥がれ落ちる。

デコボコになりながら、ひたすら転がる泥島はまるで、にきび跡が顔中に広がったおっさんの様な見た目だ。

その異容は、知能の低い動物や魔物を寄せ付けない。


「周りの反応だけで言ったら、今でももう魔王みたいなもんですよ…」


安全だが孤独な旅路は、泥島としては願ったりかなったりのことではある。

だが同時に、魔王の疑似体験の様にも思われたのだった。

勝手なイメージではあるが、泥島の中では、畏怖され避けられるのが魔王だ。


ただの泥だんごとして軽んじられるのは、それはそれで不本意だったが、畏怖され避けられるのよりはよかった。

むしろ、性に合っていたのだとさえ思えてきていた泥島は、悪友アリスこそ魔王に適していると、ぼんやりとした意識のまま、何とはなしに思い、溜め息をついた。


「とりあえず、棚田に向かうしかないんですよね~」


面倒臭げにひとりごちると、棚田と、悪友の死体をつい想像してしまう。

それも、蝿が(たか)る、画的にちょっとアレなやつを、だ。


「あいつ、うんこと変わらんやん…」


泥島は、やや込み上げた不謹慎な笑いを、ぼんやりとした意識の中に押し込めながら、また溜め息をついた。


少し笑っちゃうのはしょうがないですよ、と口にすると、笑顔で親指を立てる悪友の姿が、瞼の裏に浮かんだ。


泥島は、溜め息混じりに笑った。

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