ラーラの采配
駆けながら、ルリを勢いよくキャッチし、手中におさめたラーラ。
「奴がアナクラ…そしてイケナカと言われていタナ、お前。日本人カ?私はキムラ」
「あんたも転生者!?ちょっと、色々話を聞きたいわ。」
「それはこいつを倒した後ダナ。鑑定阻害の魔法をかケテ、偽物のステータスを表示していルガ、実際はメよりも強イゾ」
「そんじょそこらのゴブリンとは違うってわけね」
「そウダ。ガインにはかなわんガナ。イケナカ、私に考えがアル」
「日本人のよしみで聞こうじゃない」
穴倉は触手を忙しなく動かし、一気にラーラへと向かう。
触腕が鎌首をもたげる様に持ち上がり、収縮している。
収縮から一気に伸腕し、刺突を仕掛けるつもりなのだ。
「…というわけで、私の説明は終わリダ。トップスピードは、ややあちらが上。」
「ダメじゃない」
「まあ聞ケ。変則的な動きデハ、私が上ダ。見ていてわかっタロ?奴は複数の触手を複雑に動かすことには慣れていナイ」
「そうみたいね」
「だから複雑な方向転換をシテ、奴の刺突をかワス。まずは私の全身ヲ、お前の体で適当に覆エ。鎧みたいニナ。」
「何の意味があるのよ?」
「いいからヤレ。私の急な停止時ニ、逆噴射でブレーキをかケロ。一発当たればいいんダロ?」
ラーラはまた、硬い笑みを浮かべた。
「そういうことね、わかったわ」
ラーラの体を覆うルリの視界に、その醜い笑顔が映る。
「ゴブリンになると、笑顔が自然じゃなくなるのね。顔の作りが違うから、表情筋の付き方が人間と違うんだわ。ゴブリンが醜いって言われるのは、こういう所なのね、きっと」
「…失礼な奴ダナ。私は前世でも同じ顔ダ」
「…よし!ニッポン!」
「…合いの手は入れンゾ」
「…いやだわ、チームに亀裂が走った」
「ム、来タゾ、おふざけは終わリダ」




