泥だんごは誰が為に
『…というわけで、あずみちゃんたちはもう、涙涙の毎日なんですけど』
「きっ、気まずぅ」
アリスは、映像によってあずみたちの現状を知る。
まさか自分が死んでいる間に、こんなことになっているとは思わなかった。
『悲しみが癒えるのは果たしていつなんでしょう』
「アホかお前、そんなもん今だ今。俺ツラぁ見せて来るわ今から」
カプリスが止めるのも聞かず、アリスはブレブロへ向かって歩き出した。
ブレブロへ向かっているのは、アリスだけではなかった。
泥だんごこと、泥島もブレブロへ引き返していた。
アリスの死自体には実感も湧かず、自業自得ですよ、程度に泥島は思っているものの、レオンやトム老人に一応教えておいてやらなきゃな、と思い、のろのろコロコロと転がって、来た道を引き返していた。
アリスがくたばった場所には、見覚えがあった。
あてもなく、何となく川沿いを進んだ時に、棚田を見たのを思い出した泥島は、アリスの死体を見つけて、形見の一つでもあずみやレオンに持って行ってやろう、と考えた。
泥島は考える。
川沿いを行けば、あの棚田に出るだろう。
探すまでもなく、あの映像で見たどピンクを基調にしたエプロンドレスが目立って、すぐにアリスは見つかるはずだ。
それを見つけて、あいつらに靴でも持って行ってやるか。
…だが、果たしてこれでいいのか?
悪友アリスの死を知った時、あずみやレオンの悲しみは、一体如何程だろうか。
アリスを殺した池中も、きっと後悔しているはずだ。
今までのゆるい関係じゃいられなくなるかもしれない。
泥島は苦渋の表情でひとりごちる。
「泣くんだろうな、あいつら。…嫌なんだよな、女子供が泣いたり、知ってる奴らが仲悪くなるの」
泥島は、空に向かって叫ぶ。
「…カプリス、カプリス!聞いてんだろカプリス!大地王になる方法を教えてくれ!俺は誰も泣かせたくないんだよ!だからやってやるよ、俺が!なってやるよ、魔王に!」
そして、わざとらしく、自分に言い聞かせる様に叫ぶ。
「何より、香典がもったいねえ!そうだよ!香典がもったいねえ!」
照れ隠しの絶叫に、カプリスはほくそ笑んだ。




