270/2233
透明 vs 虹色
「何ということダ」
メは戦慄する。
アリスも凄まじかったが、この虹色のスライム、〝ルリ〟もとてつもない強さだ、と。
メは、透き通る体の真ん中に、赤い魔石の様な心臓を持つ〝アナクラ〟を〝光輝く飽食の宝石〟だと信じた。
言い伝えと一致する姿と、それに見合う強さというのは、魔に魅入られた者にとって、信仰の対象になる。
実際に、メは胸が躍った。
ゲブ族のゴブリンたちの態度、そしてミサとスライムのルリの友好的な関係、村の惨状、重なる死体を見れば、アナクラがいかに強く危険な魔物なのか、わかろうというものだ。
そしてそれは、僕であることを誓うメを助ける為になされたことなのだ。
強く、残虐な魔物が、メという矮小なゴブリン一匹を助ける為に暴れるということは、即ちメを眷族と認めてくれたということだ。
だが、そんなアナクラを、ルリはいとも簡単に屠った。
〝七色の嫉妬〟を思わせる異様な姿と、魔王と信じるに足る魔物を容易く葬る力。
「ルリこそが魔王カ…!」
メの小さな呟きは、ルリまで届いていた。




