希望の虹
「ダメか!心臓に当たらなかった!」
地上ではミサが、悔恨の表情で高空を見上げていた。
穴倉は、猛スピードで落下してくるが、触手を回し、揚力を得て、空中での体勢を立て直し、木製の簡素な門の上に着陸した。
「殺す」
肩に刺さった矢を、触手を使って抜き、暗い表情を見せる穴倉。
「混血熱線砲」
穴倉の胸回りに三つ穴が開き、そこから一斉に熱線が発射された。
真ん中の穴は前方を掃射し、残り二つの穴は、横方向をカバーする。
一瞬にしてゲブの村は火の海となり、門の左右に位置する監視塔も、一瞬にして炎上する。
穴倉はヘリのローターの様に触手を超高速で回転させ、低空飛行をしながら、熱線砲で掃討を開始した。
熱線はゴブリンたちを追尾して確実に焼き切りながら、視界に入るものをくまなく狙う。
「何という光景だ…!」
ミサは愕然とした表情を浮かべた。
自分が放った一撃が、侵略の火蓋を切って落とすこととなってしまった。
生まれ育った村が燃え上がる。
前方からは、ゆっくりと穴倉が飛んで来る。
「俺を撃ったのはお前だな」
穴倉がミサを視界に捉えた。
そして地上に降り立ち、掃射を中断した。
「お前は喰い殺してやる」
粘液にまみれた触手が伸び、ミサの手足に絡まって自由を奪う。
だが。
「───水弾!」
上空から放たれた水の弾丸が触手を粉砕した。
次の瞬間、村の上空を虹色の何かが、巨大な何かが覆い、とてつもない量の雨を降らせる。
そして、村の火の手を全て鎮火させた。
すぐに雨は止み、その虹色の何かが収縮して、小さな落下傘になる。
ふわふわと降りてくる落下傘は、ミサの方へと飛来する。
「ネジネジ襟巻き!」
ミサは希望を乗せた歓喜の声をあげる。
「やめてくれない?その呼び方」
虹色のスライムクイーン、池中瑠璃が、ミサの肩に降り立った。




