魔人 vs スライムクイーン
アリスは考える。
自分は、人間の暮らしに害をなしているスライムたちを駆除しただけだ、という気持ちがある。
だから、逆の立場で、人間に害をなす魔人が池中に殺されたとしたら、アリスは、池中に賛同する、と。
だから、池中が何をそんなに怒っているのか、理解が出来ないのだ。
「殺しに怒るってんならよ、泥島をノリで踏み殺したのはどうなるんだお前?池中だって、あれは許しただろうが!ギャグならええんか!このダブルスタンダードヒステリックスライムがよ!」
故に、こうなる。
ダブルスタンダードとは、平たく言えば、同じことをしても自分は良くて他人はダメ、という、人格や思考に問題がある者がやらかす、矛盾した言動や行動のことだ。
例でいうと、ガインに怒り、殴り殺してやる、と本気で思うアリスが、撲殺死体を見て、殴り殺すとは何ごとか、と非難めいた気持ちになるなどの、自分勝手な矛盾を抱えることだ。
これを非難することは、理論的でなくてはならない議論の場においてはよいだろうが、その他の場でやれば、単なる挑発にしかならない。
「生き返らせればええんか?そんなもんやってやるわ!」
アリスは、弾丸を避けながら、リザレクトを唱え始める。
一体、十体、二十体と、瞬く間にスライムたちが蘇生される。
だが、池中瑠璃の猛攻は止まらない。
水の弾丸が、絶え間なくアリスを襲う。
「そういうことじゃないのよ、そういうことじゃ!たぶん理屈じゃないのよアリス!きっとあんたにはわからない!」
「出た出たオイ!お前は何を血迷っとるんだ!?よくわからんことでキレて、突っかかって来る女子パワーまじで迷惑だわ!」
ふたりは、お互いに向き合っているつもりで、全く向き合っていないし、お互い、自分が見えてもいない。




