襲来の前兆
あっつー。
くそ暑いわ。
季節的に夏前ぐらいなのか?この世界のこと、よくわからんわ。
青々と茂る木を見てると、まぁ、寒い時期じゃないってのはわかるわ。
でもあれだな、こんなチマチマチマチマ植木を鋏でパチパチ切んの、時間かかるわな。
何か長身長髪オールバックのおっさんが、俺の横に来たわ。
変質者だったら、悲鳴あげてやるわ。
「君は、風魔法は使えないのかね?手に風刃を纏わせて、撫でて行けば、速く、楽に切り揃えられるのではないかね?」
おぉ、それはいいアイデアだわ。
何か、渋くてイケてる紳士的な評価受けそうな風貌に見えて来たわ。
「使えるわ。風使いアリスちゃんの本気、見せてやるわ。おっさん、いい方法教えてくれてサンキュな。」
「やはり、君が噂のアリスか。」
可憐な美少女アリスちゃんの評判は、こんなおっさんにも届いてるみたいだわ。
「どんな噂だよ、ってうぉぉい、丸く切るの難しいなコレ。」
「…魔族を退けた少女がいるという噂だよ。しかし、君もまた魔族だな。私にはわかるぞ、人間ではないとな。」
「何だお前?俺は普通に魔人だっつって、カミングアウトしてるわ。街の人みんな知ってんぞ。」
「…何故だ?何故隠さないのだ?」
「あん?逆に何かマズいのかよ?」
「…いや、私からは何とも言えないな。」
「…何だコイツ?言わないなら、もうアッチ行けお前。邪魔だ邪魔、じじいがよ!…って、もういないわ。」
本当、何だったんだ?アイツ。




