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襲来の前兆
建物で太陽の光が遮ぎられた細路地は薄暗く、じめついていて、心なしか空気も澱んでいる。
王都にはスラム街もあるという。
あずみは、一度見てみたい、という思いをぼんやり持っていた。
細路地は奥に行くにつれて、無数の路地に枝分かれしていた。
ブレブロにもこんな場所があるのか、と何となく思いながら、あずみは角を曲がる。
すると、程なくして何者かが同じ道を曲がる。
そして、あずみを見失った。
「いなくなったああ?」
追跡者は、悪童のエディ。
あずみは影化して、既にエディの背後に回っていた。
「タシリモさんの言う通りでござったな。」
背後にいるあずみに驚き、跳ね退くエディ。
その額には汗が吹き出している。
「こりゃ確かに危ねえなああ。」
「危ない?拙者がか?」
「他に誰がいるんだよおお。なああ。こんなに汗が出るとはよおお。怖えなああああ。」
エディの汗は、薬物中毒者ならではの多汗もあってのものだが、本人はその考え自体が欠落しているのかどうか、あずみにはわからなかった。




