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あの娘と同じ

 里の者たちを相手取ることに思うところはある。

 戦いたくないとも思う。

 だがそれ以上に、年端も行かぬ少女を誘拐したという話に思うところがある。

 いや、思うところがあるどころの話ではない。

 怒りさえ湧く。

 自分を受け入れてくれた優しい人たちが、その一方で少女の人生を躊躇なく踏みにじろうとしている。

 人間の尊厳を奪おうとしている。

 それはあずみにとって、我慢ならない蛮行だった。

 疾風の様に駆けたあずみは、闇のクナイを作り出し、レインの肩口に突き刺さんと殺到した。

 しかしレインの黒貨に弾かれた。

 火花が散り、金属音が鳴る。


「いやほんと何なんでござるか、お主ら!」


 絶叫し距離を取るあずみ。

 その顔は険しい。

 この感情の発露は、誰の目にも突然の(たかぶ)りに見える。

 当然レインにもそう見えた。

 だからこそレインは、何とはなしに言葉を返す。


「そちらこそ何なのでしょうか」


 これは本当に、何の意図もなくただ聞き返しただけだ。

 だが、この言葉のお陰であずみの脳裏には、記憶の中の服部あずみが映る。


「拙者は……」


 (めかけ)の子で、人に学校に家に押し潰されそうだった服部あずみ。


「拙者は……」


 無力な少女だった服部あずみ。


「拙者は……」


 無力な少女の服部あずみが、ネネクレアに重なって見えた。

 

「……あの()と同じでござる!!」


(疾風走破)


 あずみが再び駆ける。

 その速度はレインに何ら引けを取らない。

 泥島にはそう見えた。

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