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靄の正体
かくして生まれたのが、悪薬だ。
毒霧を体内で生成するスキルを獲得し、最高位まで熟練度を上げると、微細極まりない調合による毒霧を生成出来る様になった。
ごくごく微弱な神聖属性の気を体内で練っている状態で、神聖属性が効きにくい毒を生成する実験を延々続けた末に出来上がった毒は、とてつもなく体力を使う高コストのものになってしまった。
そしてそこに神聖属性の気を纏わせる。
微妙なバランスによる融合を成功させ、毒が神聖な気と同化した靄となって体外に放出された時、ジャン・ジャックは震えた。
とんでもない代物を作ってしまった、と。
神聖属性の魔法が通じない毒が出来上がってしまったのだ。
神聖属性を持つが故に、神聖魔法に反応しない毒。
理論上、治療不可能の毒だ。
「中位回復魔法三回で、俺の魔法力はほぼカラだ。そしてお前を殺す為に、回復したばかりの体力も、根こそぎ使ってしまった。俺は三日は動けんだろうな。だが、お前を殺すことを優先させてもらったよ。」
気を体内に閉じ込めることで、消費を最小限に抑えるのがよいとされる修道の技において、魔力を拳から立ち上らせるのは嗤いの対象であり、ジャン・ジャックが放出している靄は、その未熟な修道の技ととてもよく似ていた。
故に、相手が高位の相手であればある程、実力を見誤ってくれるのだった。




