あずみと里
何故かというと、この里そのものがまるごと仲間だからだ。
森の中の隠れた里でひっそりと暮らし、行商をし、時には忍として任務にあたる。
これがこの里の皆の生業だ。
人を拐う、殺める様なこともある。
それを皆も当然、やって来ている。
そしてその先頭に立っているのが、シャサだ。
残忍で、上昇志向が強く、手段を選ばない。
外の世界では敬遠される様な人物だが、“混沌”というチームにとっては頼れる存在だし、エタース個人としても仕事の相棒だと思って信頼している。
反対にシャサも信頼してくれているのが分かる。
確かに信頼関係があるとエタースは考えている。
だから、あずみの青い感情は尊いとは思いつつも、シャサを、“混沌”を守る為に、嘘をつくことぐらい造作もない。
「この子は病気で、暴れてしまうから拘束してるんだ。 ここで静養後に然るべき場所に移す手はずになってる」
本当は売り手がつけば売るだけだ。
人身売買ネットワークは里の人脈を、ひいてはカワベの人脈を駆使して行われる。
万能の魔力を持つネネクレアならば、すぐに高値がつくだろう。
これで自分たちも、里もまた潤う。
「そうなんでござるか! よかったでござる!」
何も知らず笑顔のあずみ。
里の子どもたちだって、初めは騙されて忍としての鍛練を課される。
それと同じだ。
時が来れば明かすこともあろう。
エタースも、シャサも、カワベも、同じ思いであずみを見る。
魔物とはいえあずみならば、忍の全てをいつか受け入れてくれるだろう、と。
ただ、今はまだその時ではないとも。
何故ならば、あずみの情緒はまだ幼く、危うい香りがするからだ。




