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話せねえんだ、すまねえな
エタースは別に他者とのコミュニケーションが得意なわけではない。
シャサが丸投げしてくるので仕方なくだ。
あずみは訝しげにエタースの顔を見て、周りをウロウロしていて、とにかく怪しんでいることだけが伝わってくる。
どうしたものかと困るエタース。
するとカワベが助け船を出した。
「あずみよ、忍は何も正義だけを遂行するわけではない。 わきまえい」
頭領であるカワベにこう言われては、あずみも引き下がるしかない。
「……」
納得行かぬといった表情で、無言となったあずみ。
そっぽを向いて、長く息を吐く。
気持ちの折り合いをつけようとしているのだろうことが、エタースにも容易に分かった。
「話せねえんだ、すまねえな」
エタースはあずみに一言声かけるが、あずみは拗ねてしまったのだろう、反応がない。
汚れ仕事をよしとしないあずみは少々面倒くさいが、魔物なのに正義感があるあずみという存在は、エタースに自分を省みさせる。
人身売買などにも手を染める自分たちの稼業に思うところがないわけではないのだ。
とはいえ、何も変わらないのだが。




