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カワベ忍軍
里は特別裕福という訳ではないが、貧しい訳ではない。
この秘匿された地の土壌は豊かで作物がよく実り、川があちこちに流れていて水に困ることもない。
木材はいくらでもあるし、加工業も栄えている。
鉱石もよく出土し、鍛冶も盛ん。
焼き物の窯なども多くある。
機織りもある。
紙作りだってある。
何だって揃っているので、里の人間は、これらを元に行商で稼ぐことが出来る。
そして何より、忍として外で働くことが、何よりの稼ぎとなった。
これはシャサのお陰だ。
「シャサ、お帰り!」
「後でうちに寄れよ!」
里の人間が、皆、シャサに声をかける。
故郷でのシャサは英雄だ。
外で忍として悪名を轟かせるシャサのお陰で、里の忍は一種のブランドと化していて、相場の数倍を稼げる。
誰もがそのことを感謝しているのだ。
だが決して、シャサの七光りだけで高い評価を得ている訳ではない。
一人一人が手練れだからこそ、シャサの名もより磐石となって、それがまた里に還元される。
そしてこの最強忍軍を生み出したのは、誰あろう、長老のカワベという男。
里の忍は皆、カワベに鍛えられた。
いつしか彼らはカワベ忍軍を名乗り、世界各地で活躍している。
シャサはその筆頭なのだ。




