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イレギュラーな本能
穴倉は、何かに躓く時、必ずといっていい程、池中瑠璃を思い浮かべる。
彼女を指針としているのは明白で、穴倉本人も自覚させられた。
(俺にとって、池中が戦いの手本になっていた)
そう、穴倉にとっての池中瑠璃は戦いの手本だった。
(だけど)
だけど、戦いの手本と言っても、池中瑠璃の為す戦いは、工夫するもの。
かつ、愚直なものでもあった。
(戦う気が起きない時、あいつはどうしていたんだろう)
今の穴倉が知りたいのは池中瑠璃の真っ直ぐな強さではなく、心が弱った時の自分の保ち方で、しなやかな考え方だった。
(今の俺は、それが知りたい)
穴倉自身も、無敵だったかというと、そういうわけでは決してない。
敗北は多かったし、諦めることもあった。
しかし、諦めても、それで前進する様な不思議なところが穴倉にはあった。
そんな自分を呼び覚ましたい。
穴倉には、無意識にその願望がある。
それは用意された思考ではなく、穴倉の、穴倉による、穴倉の為の生き方が反映されて生まれた反射の様なもの。
用意されていないが、確かにそこにある、イレギュラーな本能。




