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神殿出身者のイデオロギー

「ふん、意味があるのか?殺した後の捕縛に。そもそもお前は、不殺を守らず、破戒の道を征く魔の騎士だ。にも関わらず、神殿から破門もされず、聖騎士と呼ばれ、のさばる。こんな腐りきった神殿とお前に正義などない。」


 ジャン・ジャックの鋭い眼光。

 対して、目を見開き、答えるガイン。


「悪を滅する騎士が聖騎士だ。そして(おれ)の仲間には、蘇生魔法を使える者がいる。貴様は(おれ)に殺され、捕縛された上で甦り、罪を償うだけの生を歩むことになる。正義執行はこれにて真の完成を見るのだ。」


 その言葉は、ジャン・ジャックの心をざわめかせる。

 意識が戻った時に、いわれない罪を着せられた過去の経験が、フラッシュバックする。

 ジャン・ジャックの胸の内を、不快感混じりの怒りの業火が焦がす。


「罪を償うだけの生だと?そんなものを与えるのが正義とは笑わせる。それはお前のエゴであって正義ではない。お前がやろうとしていることは、絶望だけを生み出す奴隷商人と変わらん。死者を冒涜するまやかしの生によって完成を見る正義執行など、神殿の教義にもとる邪の道でしかない。この破門医ジャン・ジャックがここでその道、閉ざしてやろう。……まやかしによる未来なき生を与えることを正義だとお前が言うならば、お前の様な間違いを犯す騎士の前に立ち塞がる俺の存在こそ、真の正義だ。」


 ジャン・ジャックは顔を(しか)める。

 自分を破門にした神殿が、この狂信的な異形の者をいまだ受け入れていることに。

 そして、それに嫉妬している自分に。

 聖騎士ガインは尚も目を見開いたまま。


「己と貴様は相容れんな、殺人医師(メディスンマン)。貴様は人間でありながら、何の罪もない騎士を無差別に殺す、人でなしの狂人だ。」


「狂っているのはお前だ、聖騎士(セイントナイト)。弱い種族に生まれながら、たまたま環境に恵まれて強者に育ち、教義を曲解して偽善を狂信する、傲慢な殺戮生物め。」

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