一刀両断
クマガイの殺気、そして集中力は極限まで高まる。
クマガイの体内で気が練り上げられ、うねる。
右手をゆっくりと引くクマガイ。
この時、操縦者は、クマガイの全身の気が右手に集束してゆくのをかんじた。
「一撃勝負か」
「ああ。 一発でブッ飛ばしてやるよ。 ドデカいやつで」
操縦者の言葉に対し、何の駆け引きも見せないクマガイのストレートな返答。
操縦者は内心、勝った、とほくそ笑んだ。
何故ならば、操縦者には切り札があるからだ。
そしてその切り札は、恐らくクマガイの次の一撃と相性がいい。
「そう、か」
笑みを抑える黒の操縦者。
会話をしながら用意した切り札の準備が整ったのだ。
(接続)
その瞬間、黒の操縦者は、操縦者ではなくなる。
これまでは黒を遠隔操作していたが、黒の中に自分の魂を宿し、直接戦うのだ。
こうなると無論、攻撃を受ければ痛みを受ける。
だが、体の隅々まで自分の意思で動かせる。
近接戦闘を敢行するということだ。
「死ね」
黒の両手が鋭く尖りながら伸び、刃となった。
さらにデシネと同じ、黒い気の刃を、この両手に纏う。
太股はカモシカの様に太くなり、足先には蹄。
これで、見立てではクマガイの速度を凌駕し、細切れに出来るはずだ。
いや、はずではない。
クマガイの攻撃は、溜めに溜めての特大の一撃。
当たれば黒は魂ごと消し飛ぶ。
しかし、予備動作が大きい。
スピード特化型の体に変化しつつある黒が、先にクマガイを切り刻む。
これは決定事項だ。
クマガイ自身もそれは理解している。
しかし、怯みはない。
「!」
怯みはない、が。
一瞬でクマガイは一刀両断された。
HPが0になる。




