2132/2233
強いだけだ
黒の操縦者は、この世界での暗躍者を気取ろうとしていた。
黒球は得体の知れない異物であるし、その強さはとてつもないはずだった。
いや、実際にとてつもなかった。
この世界における強者といえるアリスたちを蹂躙し、全滅の危機に追い込んだ。
いとも簡単に、だ。
黒の操縦者は、それ自体には満足している。
だが、そこからが不満だ。
クマガイの変化が不満だ。
(強いだけだと?)
クマガイの言葉は、黒の操縦者をどこまでも苛立たせる。
以前のクマガイは、わめいたり、闇に堕ちたりと、黒の操縦者が最も御しやすいタイプだったはずだ。
しかし、今は違う。
揺らぎがない。
迷いがない。
油断がない。
甘さがない。
こうなると、つけ入る隙がない。
クマガイがもう一度言う。
「強い、だけだ……!」
その目は、怒り猛り狂っている様でいて、しかし悲しみに満ち溢れている。




