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勝負
現在のクマガイとデシネでは、圧倒的な差があるのだ。
先刻までならば、クマガイに遅れを取らなかったであろうが、それはあくまで先刻までのこと。
今のクマガイはもう、尋常ならざる高みにいるのが、黒球には分かった。
(まさか、あんな方法でレベルを上げるとは……)
黒球にとって、この世界の理はあまりにも自由すぎる。
通常、味方を倒して経験値を得るなど、考えられない。
(普通のゲームではあり得ない方法だ……)
黒球は、この世界をゲームの様に認識している。
いや、ゲームの様に、ではない。
ゲームとして認識していると言っていい。
黒球はいわば、他のゲームのプレイヤーキャラで、それを何者かが操作しているのだ。
(球のレベルは70を超えているのに、届く気がしない……! だが)
黒球の形状が変わり、人型をかたち作る。
その姿は黒光りした、顔のない人。
「これなら勝負になると思うよ」
不敵に言い放つ、黒の操縦者。
しかしクマガイは顔色変えず、静かに答える。
「俺は勝負をする気はないよ。 お前が死ぬだけだから」
その声に、目に、心に揺らぎは一切ない。




