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こたえないクマガイ
「……」
対する黒球がクマガイに語りかけた。
その言葉は相変わらず言語化されていない。
しかし、心に直接語りかけるので、意味は寸分違わずクマガイに伝わった。
以前のクマガイならば、この黒球の声を聞いて意識が侵食されたものだ。
しかし、今は違う。
黒球の声に左右されることなく、しっかりと意識を保っている。
真顔で黒球憑きのデシネを睨むクマガイ。
すると黒球デシネが驚き、目を丸くした。
「……!」
クマガイは凄みある目つきで、デシネの目を見続ける。
デシネの奥にある黒球を見ている様な目。
黒球は、その目を見ていると、逆に心がかき乱されそうだと思った。
そこで、どうにか再度の揺さぶりをかけようと試みる。
その手段はとてもシンプルで、まるでかつてのクマガイの様な卑屈さすらある。
「少し、話そうか」
デシネの口から出たその声は、黒球の意思によるもの。
だが、クマガイは無言でデシネを睨み続ける。
答えようともせず、応えようともしない。




