クマガイ、頼むわ
『いやぁ、しくじったわ。 まさかこんな風になるなんてよぉ。 ここから出たかっただけだったんだけどよぉ、無理そうだわ。 あの黒い球ってよぉ、この世界のもんじゃないらしくてよぉ、異世界から来たらしいんだわ。 だからよぉ、空間から空間の移動が出来るっていうさぁ。 だから魂取り込んで、その能力使って空間移動して脱出しようぜってことだったんだわ。 あのデシネのオッサンがよぉ、俺を騙したのか、ミスってこうなっちまったのかは分からねぇ。 でもよ、こうなっちまったらよ、詰んでるわ。 そう、終わりだわ。 もう俺も助からねぇのが分かる。 心がよ、少しずつ変わってくのが分かるのよ。 俺はよ、今はRevolution発動してるから、みんなみてぇにガッチリ意識乗っ取られちゃいねぇ。 まだ防御出来てる。 でもよ、もう体が動かねぇし、あの黒い球の心がよ、どんどん入って来ててよぉ、俺が俺じゃなくなり始めてる。 このままじゃ乗っ取られるだろな。 あいつは俺になろうとしてる。 俺の力、Revolutionを自分の物にしようとしてる。 Revolutionにはよ、この世界の理をねじ伏せて変える力があるわ。 奴の狙いはそれよ。 俺がRevolution使って超えた空間の壁を、あいつは普通に超える力がある。 そんな奴がRevolution使えたらよ、この世界全てを滅ぼすことが出来る。 あいつはそれをやろうとしてるわ。 それは見過ごせねぇんだよ。 だってよぉ、この世界にはよ、俺を娘だっつってくれる人たちがいるわけよ。 俺はあの人たちを守りてぇ。 でもよ、自分じゃもう出来ねぇ。 だからクマガイ、頼むわ』
クマガイは困惑する。
その目には涙が浮かんでいるが、それを見たアリスは少し笑って、すぐに真剣な顔になった。
眼光はいつにも増してギラついている。
『俺が触った魂は、黒い球だけじゃねぇ。 この空間を作り出した天使の魂も掴んでよ、今、融合しかかってる。 つまり、この空間のボスは俺になる』




