聞けオイ、クマガイ
だがデシネは黒い波動を手刀に纏い、前方に掲げた。
手刀には黒い波動の刃がたちのぼる。
そこに穴倉の熱線が激突した。
「熱線砲ァァァ!!!」
一瞬で消し炭になるかと思われたデシネだが、穴倉の熱線砲は黒の波動刃の切っ先に触れて割れた。
何のダメージも受けてないデシネが、無表情で穴倉を眺める。
普段の穴倉は無表情でいることが、これには流石に戦慄と悔しさが先立ち、焦りの顔になる。
クマガイは、穴倉のこんな表情を見たことがない。
「なんっ、どうしたらいい」
デシネの突然の反逆。
突如崩れた均衡。
強者たちが敵わない現状。
(何が起きてんだよ! 何が! アリス!)
突然のことに混乱するクマガイは、打開策を求め、藁にも縋る思いでアリスに目を向ける。
するとアリスと目が合ったが、どうやら魂を伝ってアリスの体も黒球に支配されかかっている。
アリスは「こりゃ参ったわ」と言い、苦笑いしながら、脂汗を流している。
余裕がないのだろう。
「おっ、俺の中に避難しろ!」
クマガイは、アリスの魂をその身に受け入れようと提案したが、アリスは「や、オメェもこうなったら終わりだわ」と言って、フーッとゆっくり息を吐いた。
そして「聞けオイ、クマガイ」と言ったのを最後に、念話を飛ばした。
その内容に、クマガイは泣きそうな顔でアリスを見続ける。




