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さらば大地王

「何故、ガインが去る?」

ミサは、意味不明な光景に、呆然としていた。

アリスを制する為に、大地王こと泥だんごを人質に取ったつもりだった。しかしアリスは笑い、ガインが逃走した。


「あいつ絶対、思い込み激しいタイプだわ」

アリスが、げんなりとした顔で呟く。

「そうね。それに何よ七色の嫉妬って。失礼しちゃうわよ」

レインボースライムもうんざりしている様だ。そしてアリスが泥だんごに話しかける。

「オイ、大地王」

「大地王って呼ぶな。やめろって。お前、聞き逃したって言っときながら、大地王って呼ぶな。聞き逃したってのは嘘か、なぁ?」

アリスにぼそぼそと訴える大地王。何というか、この魔王共には緊張感というものがない、とミサは思う。

「人質に取られてるのに、大地王、調子乗り過ぎだわ」

大地王は、依然としてミサに握られていた。

「そうだった!このゴブリンさん、俺をどうする気なの?マジで握り潰すの?アリスちゃん、俺を助けて下さいよ。泣けてきますよ。恐くておしっこもらしそうですよ」

「もらしたらいいわ」

「そんなお前……、あっトイレ!トイレに行かせてもらえませんかねゴブリンさん~ちゃんと戻って来ますから~トイレに行かせてもらえませんか~トイレに~!」

「…ゴブリン子ちゃん、大地王を離してやってほしいわ。哀れで見てられんのだわ。泥島、お前情けないわ」

「うるさいワキガ!俺は死にたくないの!」

「死んだら、生き返らせてやるわ。ゴブリン子ちゃん、そいつやっぱ握り潰していいわ」

「ちょっとやめてよ、死ぬのは嫌ですよ……」


ミサは魔王たちの会話をよそに、ブツブツと呟く。

「…こいつらは、一人一人が魔王。仲間意識もなく、人質も意味がない。ガインは逃げてしまったし、私は殺され、村も滅ぼされる。どうすればいい、どうすれば」

ミサは無表情のまま、ひとりごちる。そして、絶望や恐怖や悔しさがないまぜになって、拳を握った。

「「あ」」

アリスとレインボースライムが、間抜けな声を出した。

「あ」

ミサも間抜けな声を出した。そしてミサの指の間からボトボトと落ちる泥。




「「「大地王ォォォォ!」」」

大地王こと泥島保典、死亡───!








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