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お前、俺の敵か?

 穴倉を睨むクマガイの脳裏によぎるのは、地に伏せる自分。

 造られた偽の記憶だと分かっているが、いや、だからこそ心の深いところに根ざしている。

 穴倉が戦闘生物としての本能に突き動かされるように、クマガイはかつての自分を思い起こさせる状況に突き動かされている。


「穴倉ッ! お前やっぱり人間じゃないッ!」


 言いながら目をつり上げるクマガイ。

 爪と爪での(つば)()()いをしながら、穴倉の眼光も鋭くなる。


「そうだよ、俺は人間じゃない」


 クマガイと穴倉の目が合った。

 しかしクマガイは退かず、むしろ穴倉を呑み込まんとする程の怒気と闘志を爆発させる。


「開き直るなッ! 何でお前はそうなんだッ!」


 クマガイの腕に力がこもり、穴倉の腕が押されて行く。

 すると穴倉の背中から伸びる触手の先端が刃化する。

 さらなる攻撃を繰り出そうとしているのだ。

 穴倉は、人ではない自分を受け入れている。

 そして姿は異なるが、異形の魔物同士のクマガイに共感する部分が少なからずある。

 だが同時に対抗心、反抗心もある。

 それは、クマガイの言動に気に食わないところがあるからだ。

 クマガイは、人間でないにも関わらず人間ぶるところがある。

 カッとなった穴倉も叫んだ。


「お前こそ、何様のつもりなんだ!」


 またも一触即発の空気。

 だが、そこにアリスが割って入る。


「穴倉お前いい加減にしとけよ。 その人、弱っちぃただの人間やろ。 誰彼構わずケンカすんな。 俺の言うこと聞かねぇなら敵だわ。 お前、俺の敵か?」


「……いや、敵じゃない」


「ならやめろや」


「……分かった」

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