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何考えてんだよッお前ッ
しかしイルマには届かず。
割って入ったデシネの手刀、そしてクマガイの爪が、穴倉の爪を受け止めていた。
「何のつもり?」
穴倉の声には抑揚がなく、イルマを殺すことにも、阻まれたことにも感情の波がない。
だが、敵意には敏感だ。
目に闘志が宿り、二人を睨む。
一人は、イルマの夫デシネ。
「貴様ッッ!」
そしてもう一人は、クマガイ。
「何考えてんだよッお前ッ!」
戦闘生物である穴倉の口の端が持ち上がり、笑みを形づくる。
本能的に戦いを求めているのだ。
しかし、そんなことはクマガイには伝わらない。
クマガイには、穴倉がただ気まぐれに、無感情に、爪を振り下ろした様に見えた。
それは、不意にクマガイの感情をかき乱すこととなった。




