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マシアスの気付き
ザコと言ったのは、アリスが実際にマシアスをそう思っているからで、素直な一言。
それがマシアスの癪にさわる。
「あ……? テメー……」
マシアスは、心を静かに保ち、物事に当たろうとしてきたが、力の差をストレートに言葉にされ、瞬間的に沸点を超えた。
魔法の短剣に手を伸ばし、アリスに向かって投げようとするが、フォンテスの体から炎が吹き出した。
「やめろ、マシアス」
フォンテスの制止の言葉は静かだ。
ともすれば聞き逃す程に。
しかしマシアスの手は止まる。
「っ、はい……!」
アリスへの怒り、敵意があるままのマシアスは、アリスを睨む。
それを見ないまま、フォンテスが再度、名を呼ぶ。
「マシアス」
するとマシアスがハッとして、目を伏せた。
「はい」
マシアスは、フォンテスへの忠誠心から、アリスへの敵意を抑えた。
その時マシアスは気付く。
(!)
アリスにザコ呼ばわりされたことは気に入らないが、感情を爆発させるよりも、フォンテスの制止に従う方が、心が満たされることに。




