イルマの思考
姿は異形だが、糧食を貪り食う姿はどこか微笑ましい。
デシネの妻イルマは、アリスたちの仲の良さをかんじて、肩の力を抜いた。
生き返ったイルマが見たのは、いくらか老けた夫デシネ、ジャン・ジャックと、異形のものども。
今の今まで、戦闘の激しさや得体の知れなさにおののき、静かにしていたイルマだったが、アリスたちを観察していると、まるで子どもの様な振る舞いばかりなので、緊張感が薄れ薄れて、笑えるほどになった。
そうなると、研究者であったイルマは、四人の姿を見ながら、ある別のものに意識が向く。
それは、アリスたちの持つ技や魔法。
先ほど撃たれたアリスの火魔法にも興味があるし、クマガイ、穴倉、ガインの所持魔法についての自己申告も興味深い。
(彼らが持っている魔法を全てこの空間に向けて試してみたいところね。 人の言葉を話せる魔物がこんなに集まっているなんて初めて)
結晶化していた間、イルマは魂を囚われ、煌びやかな結晶の世界にいた。
外界と遮断され、普通の人間ならば絶望するところだが、イルマは結晶の世界から出るにはどうすればいいかを、ただ考え続けていた。
というのも、誰にも邪魔されずに延々考えられることは、イルマにとっては僥倖で、夫に会いたいだとか自由になりたいと思い落ち込むこともしばしばあったが、ネガティブな思考は長くは続かず、すぐに研究的思考に塗り替えられ、空間を打ち破る方法を色々考える日々を過ごした。
そして、いざ外界に戻ってみると、天使の空間が発現する場に立ち会えてしまった。
天使の魂と場が融合する様子をしっかり見届けたイルマの考は加速し、あっという間に仮説の構築がなされた。




