滅殺、風雷牙
様子見の吸血鬼たちをよそに、ガインは天使憑きのミラーとの激突のさ中にある。
己の力で見えない防壁を突破したいという想いは、ガインの生に起因する願いだ。
敵はどうやら神官。
しかも神託を受けた聖戦士。
片やガインは、ゴブリンの生まれ。
でありながら、人と分け隔てなく育てられた。
そして聖騎士にまで上り詰めた。
しかし、魔物。
なのに、先刻、邪神(黒球)に語りかけられた際には拒絶した。
人との調和しきれず、神殿の秩序とも、魔の混沌とも相容れない。
ガインにあるのは、我を通す苛烈さばかり。
「おォォォォォォォッッ!!」
見えない壁は、ガインの攻撃を通さない。
ミラーの額に、うっすらと汗が滲んできた。
「くっ、バカな」
ガインの愚直な進撃を難なく弾いていたはずの壁は、いまだ攻撃を通しはしないものの、弾くことは出来なくなっている。
(今、アリスたちに加勢されては……!)
身構える天使憑きのミラー。
だが、アリスと穴倉は立ち止まっていた。
「!?」
ガインを追走していたはずのアリスと穴倉は、加勢するでもなく、追撃を狙うでもなく、ただガインを見ている。
そして同時に、静かに笑った。
(なぜ笑……っ!?)
ミラーの壁にひびが入る。
そして砕けた。
ガインの目は天使憑きのミラーを見ず、その向こうに向けられている。
「滅殺、風雷牙」
遥か先まではしる、疾風迅雷のガイン。
ミラーの体は一刀両断され、左右に分かれて崩れ落ちた。




