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天使たちは戦えない

「はっ。 あの女は神官ミラーだとわれます。 そして今、天使が憑依しているかと」


 爛々とした目で見上げるシャノン。

 対するフォンテスの目は落ち着いている。

 どちらも吸血鬼特有の赤い瞳だが、その色は感情の違いをあらわしているかの様だ。

 静かに問うフォンテス。


「憑依?」


「はい。 アリスのしもべたちの変化と似ています。 あちらは邪神の憑依、そしてミラーには天使が憑依しているものと思われます」


 シャノンの言説は概ね正解といえた。

 それは、アリスたちやミラーを観察した結果、導き出した答えであって、明確な情報とは言えない。

 しかし、断片的な情報はある。


「ここは天使が作り上げた空間。 そしてあの女は時間がないと言っていました」


 遠く、地響きが鳴り、微震動も始まった。

 辺りを見渡すイゴールが、誰に言うでもなく言う。


「……空間が(きし)み始めているな」


 それを受けて、シャノンが畳み掛けた。


「この空間が保たれているうちに勝負を決めたがるということは、この空間がなければ」


 続くイゴール。


「天使たちは戦えない」


 返すシャノン。


「そうだと思うわ」


 シャノンとイゴールのやりとりを聞いていたフォンテス。

 その目が爛々と輝き始めた。

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